インターネットの歴史と仕組み

インターネットの仕組み

キーワード

インターネットはネットワークのネットワーク

インターネットは、 世界中の企業や大学、 教育機関等のさまざまなネットワーク同士が相互に接続されることによりできたネットワークのネットワーク。 もともと1969年にアメリカの4つの大学・研究所を結んで始まったネットワーク。

世界中のコンピュータ同士を、 一定の決められたルールのもとで相互につないだことにより、 インターネットはとても便利なネットワークに進化した。 「インターネットする」というのは、TCP/IP接続するという意味なのか?

インターネットを利用したい人のために、 インターネットへの接続を提供するサービス会社を、 インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)という。 プロバイダと略して呼ばれることもある。 代表例として、Nifty、IIJ、Big Globe, ASAHI-net、DTIなどがある。

利用者の一極集中から分散化・多様化の傾向

インターネットは、学術研究目的が中心であった。 現在は、商用プロバイダが登場し始め、 インターネットの大きな部分は商用プロバイダの相互接続という形へと移行しつつある。 米国一国集中アクセス(必ずアメリカを経由しないと他の国に繋がらない) という状態から、相互に直接接続する形態へ移行しつつある(?)。

今後の変化

「回線の高速化」、「どこでもコンピュータ」、 「深刻化する情報格差(Digital Divide)」

インターネット上でできることと特徴

 「コミュニケーションの道具としてのインターネット」と 「マルチメディア図書館としてのインターネット」 ・・・テキスト情報以外にも、音声や動画も扱うことができる。 要するに、 デジタル化できる情報であれば、 原則的にどのような様相データであろうとも送信可能。

各メディアの性質
LegalAdvocacy on disability Development Committeeの インターネットの歴史より

メディアの種類 同時性 双方向 保存 手段
特定少数

手紙   ×  ○  ○ 文字
電話(固定)  ○  ○  × 音声
FAX  ○  ○  ○ 文字

不特定多数

テレビ  ○  ×  △ 映像・音声・文字
ラジオ  ○   ×  × 音声
新聞  △  ×    ○ 文字
出版(書籍)  ×  ×  ○ 文字

両方

インターネット  ○  ○  ○ 文字(音声・映像)
電話(iMode)  ○  ○  △ 音声(文字・画像)

近年の動向

「Web2.0」というキャッチコピーに示されているように、 「インターネットの中で商売や情報が完結・循環するようなサービス」 が出現している。 たとえば、マッシュアップ(mash up)という戦略は、 当たり前だけど、非常に有益なシステムである。 単独でも十分に面白いサービスに対して、 (ある程度、勝手に、自由に)ネットワーク上で付加価値をつけるような、 そんな仕組みがどんどん増えていくだろう。 「情報は検索される対象として公開されてこそ意味がある」ということだと思う。

さて、楽天とかAmazonはバックボーンとして物流を抱えているので、 Web 1.0的な要素の方が濃厚なようである。 Web 1.0的なサービスの強みは、 いわゆる既存の『実業』とよばれているようなシステムを内包しているので、 ITバブルがはじけたような状況でも商売を続けることができることであろう。

それに対して、Web 2.0的なサービスは、SNSやブログ、Social Bookmarkのように、 皆でよってたかって情報を蓄え、編集して、情報の付加価値を高めるようなサービス。。。 なのかな?一般的に、情報がある一定以上集まると、 それを再編し構造化させるような方向へと変化していくわけだけど、 その質的な変化を意図的にサービスとして提供するのが、Web 2.0の特徴なのでしょう。 (商売としてどこまでの可能性があるのかはわからないけど) 情報を加工する仕組みとしてはとても面白いものです。

検索サイトを利用するときの検索活動についてのいくつか

インターネットの歴史

以下の年表は田中克範先生のインターネットの歴史に関する RFCに掲載されていたホッブのインターネット年表(日本語訳)を参考にして作成した。 このページは、平が独断と偏見で上記内容を編集し直したものであるので、 より正確な内容を知りたい方は上記の田中先生のページや Hobbe's Internet Timelineを参照して欲しい。 なお、日本国内の情報やパソコン通信などについては 虎菊ワールド Historic Personal Computer Leaflet などを参考にして平が補完した。 また、 コンピュータ自体の発展過程については、 「パソコン・インターネットの教え方」 平林雅英著・共立出版社・2000年を参考にして補完した。

より詳しい包括的な年表がJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)から提供されています。 実際にJPNICが作成したこのTimeLine/は非常に詳しくできていて勉強になります。 ただ、詳しすぎて何を見たいかが分からないときには参考にならないかもしれませんが、まずは、 「ネットワーク」と「法制度」あたりにしぼって眺めてみるといいでしょう。


1940年代

1944年

プログラム内蔵式電子計算機の概念の誕生

1949年

プログラム内蔵式電子計算機が使われだす。

1950年代〜70年代

1951年

ソフトウェア(software)という言葉が登場する。 ちなみに、Soft(柔らか)なWare(モノ)という意味。 hardwareは固いモノという意味。

1955年

計算機監視ソフト(OSの原型)が使われだす

1957年

ソ連の人工衛星 Sputnik の成功。 アメリカはいわゆるスプートニク・ショックを受ける。 米国は Advanced Research Projects Agency (ARPA) を創立し、 その1年半後に人工衛星打ち上げに成功する。

磁気ディスク装置が使われ始める

1961年

アメリカで電話中継基地の爆破テロにより、 核戦争時の通信不能が判明する。 核戦争にも耐えうる通信システムの研究が開始される。

1963年

かな漢字変換の研究が始まる

1968年

位置入力装置「マウス」が考案される

1969年

ARPANET が DoD (Department of Defense) からネットワーキング研究の委託を受ける。
- 最初のノードは UCLA ネットワーク計測センター、 すぐ後に、スタンフォード研究所 (SRI)、次にUCSB、 そして、ユタ大学が接続された。

1971年

BBN(Bolt Beranek and Newman, Inc) の Ray Tomlinson が分散ネットワークの間でメッセージを送信する email プログラムを発明する。

マイクロコンピューター(Microcomputer)という言葉が登場する

1972年

Telnet の仕様 (RFC 318)が発表される。

CCITTのジュネーブ総会でISDN(Integrated Service Digital Networks)の基本概念を発表
邦訳は「サービス総合デジタル通信網」。デジタル通信サービスの国際基準で、 電話、データ通信、FAXなどを1つの回線に統合することを目標とする。 商用利用は80年代後半から活発化。

1973年

ARPANET への最初の国際接続の開始: University College of London (England) および Royal Radar Establishment (Norway)

GUI型のOSが研究が開始する

1976年

パーソナル・コンピュータ(personal computer)という言葉が登場する

1977年

日本語ワープロ専用機が発売される。 表計算ソフトが発売される。

1979年

世界第2位の商用オンラインサービス「コンピュサーブ・インタラクティブ」が、 アメリカ合衆国オハイオ州コロンバスで産声をあげた

1980年代

1981年

BITNET, the "Because It's Time NETwork" - ニューヨーク市立大学における共同利用ネットワークとして始まり, 最初はイェールに接続。 ファイル転送はもちろん, 電子メールや情報の配送のためのlistserv サーバが提供される。

1982年

DCA(現Defence Information Systems Agency) と ARPA が ARPANET のために TCP/IPとして一般に知られている一揃いのプロトコル, Transmission Control Protocol (TCP) および Internet Protocol (IP) を確定する。 インターネット internet の第一の定義のひとつは、 特に TCP/IP を用いて接続されたネットワークの集合であり, インターネット Internet は接続された TCP/IP のインターネット internet とされるようになる。
蛇足ながら、「インターネットする」という言葉を時々見受けるが (※1999年頃の話です) これは物凄く変な言葉だと思う。 どうもweb surfingないしはe-mailの送受信と同義に使われているようだが、 正式にはインターネットするという言葉は TCP/IPを使った接続状態を表現するので非常に変だ。 LANを構築したとかそういう時にできれば使ってほしい (誰も賛同しないだろうけど)。

IBM PC/XT発表 (→後のIBM-AT互換機へ) 。NEC PC9801発売(CRTなしFDなしで\298000)

1983年

デスクトップ・ワークステーションが出現し, その多くが IP ネットワーキング・ソフトウェアを含むバークレイ版 UNIXを伴う。

ネットワーキングの需要が, それぞれのサイトのインターネットに接続された単体で大型コンピュータの時分割から, ローカルネットワーク全体を接続することへと移る。

かな漢字変換システムが発売され、 OS上で日本語入力が可能になる。

1984年

ドメイン名システム (DNS) が導入される。 ホスト数が1,000を突破する (← DNSを導入するモチベーション … DNS導入以前はホスト名を羅列したhostsファイルをコピーして使い回していて、 破綻するのが目に見えていた。 しかし、今でもローカルでhostsファイルがDNSの代わりに機能していたりする)。

JUNET (Japan Unix Network) が UUCP を使って創設される。

アップル社、マッキントッシュを発売(\1000,000)。 NEC PC9801F3・・CPUが8086(約5/8MHz)で\758,000

1986年

Network News Transfer Protocol (NNTP) が TCP/IP の上で機能する Usenet ニュースの拡張として設計される (トラフィックという面ではWebベースの掲示板システムは邪道かも…)。

NSF(National Science Foundation)が、 5つのスーパーコンピュータセンターを結んでNSFNETを開始する。

コンピュータ・ウィルスが作られ始める (これには諸説あって、 直接的な被害が生じないようなイタズラプログラム程度ならばもっと昔から存在していたらしい。 コンピュータウィルス大図鑑 参照 )

1987年

ニフティは「日本版コンピュサーブ」というふれこみで 「ニフティサーブ(NIFTY-Serve)」をスタート。以後、 コンピュサーブの日本代理店を兼ねながら、 日本のパソコン通信ネットワーク界をリードしていくことになる。

1988年

11月2日 - インターネット・ワームがネットを通じて潜伏し、インターネット上にある60,000のホストのうち6,000以下のホストが感染する。

NEC PC9801RA・・CPUが80386(約16MHz)で\489,000

1989年

ホスト数が100,000を突破する。

NSFNET に接続された諸国: オーストラリア (AU), ドイツ (DE), イスラエル (IL), イタリア (IT), 日本 (JP), メキシコ (MX), オランダ (NL), ニュージーランド (NZ), プエルトリコ (PR), 英国 (UK)

)この時点では、 米国のネットワークであるNSFNETに世界各国のネットワークが接続される形態をとっていた。 現在でもアメリカ経由で他国に接続することが多い(→Escheron)。

Macintosh SE30発売(\60万前後?)

インターネットと商用パソコン通信との間で初の電子メール交換開始

後述するTim Berners-Lee が、 高エネルギー物理研究者の知識を貯えるためのシステムとして "Information Management: A Proposal"を提案。これが後にWWW (World-Wide Web:世界規模のクモの巣) となる。

1990年代

1990年

ARPANET が解消される。

The World がオンライン (world.std.com) となり, インターネットへのダイアルアップアクセスを提供する最初の商用プロバイダとなる。

1991年

CERN(英語ではEuropean Organization for Neuclear Research) によって World-Wide Web (WWW) がリリースされる; 開発者は Tim Berners-Lee.

Philip Zimmerman によって PGP (Pretty Good Privacy) がリリースされる。

1992年

ホスト数が1,000,000を突破する。

日本で最初のインターネットサービスプロバイダである インターネットイニシアティブ (IIJ) が鈴木幸一によって設立される。

Jean Armour Polly によって 「インターネットのサーフィン」という言葉が創り出される。

クリントン大統領が、米国大統領選挙の公約として、 Information Superhighway(情報スーパーハイウェイ)の実現を掲げて選挙戦を戦った。

日本語版MS-Windowsの3.1がリリースされる。

1993年

インターネットの特定のサービスを提供するために NSF により InterNICが創設される。

Inline imageを扱うことができるWWW閲覧ソフト、 Mosaic (→後のNetscapeへ)がインターネットに嵐を起こす。 WWW は年間のサービストラフィック量で 341,634% の急増。 Gopher の増大は 997%。

1994年

ARPANET/Internet 25周年の祝賀

ショッピングモールがインターネットに進出する。

アリゾナの Canter & Siegel 法律事務所が、 グリーンカードの抽選に関するサービスを広告する email でインターネットに "spam" を起こす。 ネット上の市民はこれに激怒する。

最初のバーチャル・サイバー銀行が業務を開始する。

1995年

WWW が NSFNet 上で3月にはパケットの計数で, 4月にはバイトの計数で ftp-data を上回り, 最大のトラフィックを占めるサービスとなる。

従来からのオンラインダイアルアップシステム (Compuserve, America Online, Prodigy) がインターネットアクセスの提供を始める。

MS-Windows 95が発売され、 WWWやEmailが本格的に家庭で使われるようになった。

この年の技術: WWW, 検索エンジン

1996年

インターネット電話が合衆国の電気通信会社の注目を集め, この技術を禁止するよう議会に働きかける (これは数年間にわたっていた)。

主として Netscape と Microsoft との間で戦われた WWW ブラウザ戦争 は, 年に4回という新規リリースによるソフトウェア開発の新世代になだれ込んだ。

世界のインターネット利用に関する規制:
- 中国: 登録ユーザとインターネットサービスプロバイダは警察への登録が必要
- ドイツ: Compuserve 上を流れるいくつかのニュースグループへのがアクセスが断たれる
- サウジアラビア: インターネットアクセスは大学と病院に限定
- シンガポール: 政治的・宗教的な内容の提供には国への登録が必要
- ニュージーランド: コンピュータのディスクは「出版物」に分類され, 検閲・没収の対象となる

この年の技術: 検索エンジン, JAVA, インターネット電話

1997年

メイリングリスト名録である Liszt に71,618のメイリングリストが登録される。

メールマガジン配送会社のマグマグ始動(2000年6月現在で16,128誌が登録)

1998年

US Postal ServiceがWebページと連係した郵便サービスを開始する。

この年の技術: E-Commerce, ネットオークション, ポータルサイト

1999年

ネットの利用に限定された銀行が設立される。

セルビアとコソボのあいだで初のCyberwarが起こる。

business.comのドメイン名が750万ドルで売り渡される (1997年には15万ドル)。

2千年問題(Year 2000 Problems)への対応が取り沙汰される。

ホスト数の多いドメインTop 10: com, net, edu, jp, uk, mil, us, de, ca, au

この年の技術: E-Trade, Online Banking, MP3

Emerging Technologies: Net-Cell Phones, Thin Computing, Embedded Computing

2000年代

2000年

DoS(Denial of Searvice)アタックが広範囲で行われる。

Webページの総数(ファイル数)が10億ページを越える。

この年の技術:ASP, Napster, Wireless devices, IPv6

2001年

EC (European Council) がインターネット上の犯罪防止協定を締結する。

ウィルス(Code Red worm and Sircam virus)が各地のWebサーバーに感染し猛威をふるう。


これ以降の発展、進化は細かく長くなりすぎるので、 総務省の情報通信白書 for Kidsに委ねます。



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