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ホーム宇宙の実験教室|太陽の日周運動 その1

宇宙の実験教室

カテゴリ

太陽の日周運動 その1

同じ場所で撮影した各季節の太陽の日周運動の映像を見て、太陽の動きを観察する実験です。
ねらい

季節によって太陽の日周運動の見え方が変わることを理解しよう。

地球の自転によって太陽はどのように動いて見えるでしょうか。 180度視野のレンズを装着したデジタルカメラ(全天カメラ)で撮影した太陽の1日の動きの映像を見て、ワークシートや透明半球に太陽の動く道すじをプロットし、どんな道すじになるのか確かめてみましょう。
この太陽の道すじは一年中同じでしょうか。 季節によって太陽の出ている昼の長さと夜の長さは違いますね。これは太陽の動く道すじが季節によって違うからです。全天カメラの太陽の映像は、同じ場所で季節ごとに撮影したものを見ることができます。各季節についても同様に、映像から太陽の動きをワークシートや透明半球にプロットし、一年を通じて太陽の道すじがどのように変化するのかを調べてみましょう。そして、調べた結果から季節による昼と夜の長さの違いを考えてみましょう。

太陽の動きを思い出せ!

太陽ののぼらない日はありません。いつもそこにある太陽ですが、どこからのぼって来ているか、どこへ沈んでいくのか、空のどこを通っているのか、わかりますか。ちょっと思い出してみましょう。
太陽ののぼる時間、それは明るくなる時間です。明るくなる時間はいつも同じですか?暗くなる時間についてはどうでしょう?季節による太陽の動きの違いについても考えてみましょう。

全天カメラとは
全天カメラ全体像
横から見た模式図

全天カメラシステムは、撮像カメラ(デジタルカメラ)・魚眼レンズ・水準器から構成されています。
魚眼レンズは視野が180度あるので、魚眼レンズを付けたカメラを天頂に向けて撮影すると、カメラを設置した場所から見た空全体の風景をひとつの写真に撮ることができます。

魚眼レンズの見え方

普通のレンズで撮った写真
同じ場所で魚眼レンズで撮った写真

ムービーはどうやって作るの?

全天カメラシステムを使って、日の出から日没まで一定時間ごとに空全体の写真を撮ります。こうして撮影した画像データをパソコンに取り込み、Adobe社のグラフィックソフトのイラストレーターを使って方角や画像の調整、方位・高度座標の挿入をします。さらに、Microsoft社の動画編集用ソフトMovie Makerを用いて、各画像を時間の経過と共に編集し映像化します。

もっと詳しく知りたい方は関係論文ダウンロードページへ!


実験方法

用意するもの

日周運動のムービー、2時間おきの映像、ワークシート(これらのファイルはダウンロードできます)、パソコン、映像を見るためのアプリケーション

ムービーを見よう

ムービーを見て、太陽がどちらからどちらへ動いているか、大まかな道すじを確認しましょう。

2時間おきの太陽の位置を記録しよう

次に、2時間おきの映像を見て太陽の位置を読みとり、ワークシート上にプロットしましょう。
左の写真は仙台市(宮教大屋上北緯38度)で2005年6月21日の日周運動ムービーの午前11時43分(南中時)における映像です。淡く白い円形が太陽です。この映像から、方位・高度を読みとってワークシートに記入したものが右の図です。
同様にして、2時間おきの映像を見て、ワークシートに太陽の1日の道すじを記録しましょう。

別の季節の太陽の道すじも記録しよう

別の季節に撮影された映像を見て、季節による違いがあるかを確認してみましょう。
同じように、2時間おきの映像から太陽の位置を読みとり、ワークシートに太陽の1日の道すじを記録しましょう。

観察結果

仙台市(宮教大屋上北緯38度)で撮影された2005年6月21日の日周運動の映像を見て、1日の太陽の動いた道すじをワークシートに記入したものです。

仙台市(宮教大屋上北緯38度)で撮影された2005年3月15日の日周運動の映像を見て、1日の太陽の動いた道すじをワークシートに記入したものです。

比べてみよう

記録した太陽の道すじを6月と3月とで比べてみましょう。 南中高度、日の出の位置、日の入りの位置、昼の長さなど、どのようにちがいますか。

観察のまとめ

観察してわかったことをまとめましょう。

  • 太陽は東からのぼり、南の空を通って、西に沈んでいくように見える。
  • 6月の南中高度は3月より高い。
  • 6月の日の出と日の入りの位置は3月より北よりになる。
  • 6月の昼の長さは3月より長い。

考えよう

このように、季節によって太陽の南中高度や昼の長さにちがいが生じるのはどうしてでしょうか。
宇宙から見た地球と太陽の位置関係から天球上の太陽の動きを考え、その理由を探ってみましょう。

考えよう

※観察結果の「考えよう」へのリンクとなっています。

天球で確かめよう(1)

地球は太陽のまわりを図のように1年かけて回っています。これを公転といいます。
図の(a)~(d)の位置にあるときの太陽の見え方を、天球を使って確かめましょう。

位置(a)から考えてみましょう。
星の動きを考えたときに、地球からいろいろな距離にある星を大きな球の表面に貼り付けて、想像上の球形の天井「天球(てんきゅう)」を作りました。天球についての復習はこちら
太陽も、星のひとつですから、天球上に貼り付けることができますね。下の図は位置(a)の太陽と地球の図です。地球が太陽のまわりを回っている面(=公転面)と地球の自転している方向とは約23.4度かたむいています。したがって、このときの太陽は地軸から約66.6度の方向にあり、次の図のように、天球上に描くことができます。

次に、地球を天球の中心に小さく縮めて、観察者に地面を作ってあげて、太陽の道すじを描いてみましょう。すると、下の図のようになりますね。

北極星のある方向が北であること、太陽の昇ってくる方向が東であることを考えて、東西南北の方向を書き入れてみましょう。

(b)の位置についても考えてみましょう。(b)では画面の裏側が昼なので、観察者も裏側に行ってしまってこちらからは見えませんね。ですから、観察者の立っている地面の方から見ている絵になります。太陽が昇っていく方向が東なので図のように東西南北の方向が書き入れられますね。

同様にして、地球が(c)の位置、(d)の位置にあるときの太陽の道すじを考えてみましょう。
地球が(c)の位置にあるときの太陽の道すじです。

地球が(d)の位置にあるときの太陽の道すじです。

天球で確かめよう(2)

 

ここで、上の図で考えた太陽の道すじを、観察者の立っている地面を水平にして考えた天球に描いてみましょう。東西南北に注意してください。
すると、次のようになりますね。

天球で確かめよう(3)

では、(a)(b)(c)(d)それぞれの位置にある時の北半球の季節は何になるのか、考えてみましょう。

(a)(b)(c)(d)それぞれの位置にある時の、昼と夜の長さ、南中高度を比べて、それぞれ北半球が春夏秋冬のどの季節にあたるか、をまとめてみると、下の表のようになりました。

太陽に対する地球の位置昼と夜の長さ南中高度北半球の季節
(a)昼の方が長い最も高い
(b)(d)昼と夜の長さが同じ中くらい秋・春
(c)夜の方が長い最も低い
天球で確かめよう(4)

地軸がかたむいていなかったとしたら、天球上の太陽の道すじはどうなるでしょうか。 地軸がかたむいていないので、地球の公転の様子と(a)(b)(c)(d)それぞれの位置にあるときの天球上の太陽の道すじは下の図のようになりますね。

 

ここで、上の図で考えた太陽の道すじを、観察者の立っている地面を水平にして考えた天球に描いてみましょう。東西南北に注意してください。 すると、次のようになりますね。

地軸がかたむいているときは、地球が(a)の位置にあるときと、(b)(d)、(c)の位置にあるときとでは、それぞれ太陽の道すじがちがいましたが、地軸がかたむいていないと考えると、地球がどの位置にあっても太陽の道すじは同じで、南中高度や昼夜の長さに違いが無くなってしまいます。
このように、地球の地軸が一定の角度でかたむいたまま太陽のまわりを公転していることは、季節が生じる大きな原因となっています。

発展

天王星は、地軸が公転面と約90度かたむいています。したがって、太陽がずっと出ているときや全く出ないときがあり、とても極端です。 太陽と(a)(b)(c)(d)のどの位置にあるとき、太陽がずっと出ている、あるいは全く出ないのか、考えてみましょう。

ダウンロード
宮城教育大学(東経140°49′47″北緯38度15′31.5″高度 160m)撮影 日周運動
ムービー・定時間おきの画像
春分付近 2005年3月15日 出05:47 南中11:46 没17:44

wmv (4.58MB)

夏至付近 2005年6月21日 出04:12 南中11:38 没19:04

wmv(12.07MB)

秋分付近 2005年9月29日 出05:29 南中11:27 没17:24

wmv(10MB)

冬至付近 2005年12月20日 出06:47 南中11:34 没16:21

wmv(8MB)

ワークシート
WORD159KB
関係論文
教室で行う宇宙の実験‐7: 全天カメラを用いた太陽の日周運動の映像教材の開発 高田淑子 千島拓朗 et al.
PDF(2.3MB) 宮城教育大学紀要(40)