概念定義の色々


カテゴリ・概念をもつことのメリット

概念に関する古典的な見解

「カテゴリの成員は,その概念を定義するために必要かつ十分な特徴を共通してもっている。定義的特徴にしたがって概念は形成されている。」

しかし,この概念モデルで,以下の問にうまく答えることができるであろうか?

3つの知識モデル

プロトタイプ・モデル

概念はプロトタイプとして貯蔵されると仮定する。
 プロトタイプとは,カテゴリ内の,もっとも典型的な成員が持つ特徴の抽象的な集合体を意味し,典型性の次元が存在する。 ただし,概念に関する主要平均値的な知識以外についても,人間はよく知っている。また,文脈によって典型的な事例が変化することをうまく説明でいない。

事例モデル

概念は,それを構成する個々の事例によって表現されると仮定する。 学習時の一般化や,概念がどのように形成されるかをうまく説明できない。

理論ベース・モデル

概念のまとまりを重視し,概念はその構成を規定する知識と外界に関する理論に基づくと仮定する。概念にとってどれが重要な特徴かを判断するのは,心的な素朴理論であると考える。
 なぜその理論を使ってカテゴリを判断しているかを説明する仕組みが必要とされる。

スキーマ理論

意味記憶に留まらずに,更に一般的,包括的な知識表現としてスキーマという考えが提案されている。(スクリプト,物語文法)

スキーマとは,過去経験や外部環境についての構造化された知識である。記憶するということは,心理的な枠組みとして新しい情報を取り込み,再構成するプロセスを含む。

知識の符号化・体制化方略

短期記憶から長期記憶へと,リハーサルによって情報が転送される。どのような転送か?

記憶術と記憶方略

2重符号仮説と加算効果の検証

松見(1994)は均衡バイリンガルと英語の初学者を被験者に実験を行った (原典:松見法男 (1994).「第2言語習得における単語の記憶過程」, 心理学研究, 64, 460-468.)

実験手続き

被験者に英単語の記憶再生を求め,その正再生率を比較する。

1:単に書き写す
2:日本語に翻訳する
3:視覚的イメージを浮かべながら書き写す
4:視覚的イメージを浮かべながら翻訳する

実験条件の整理

アクセス可能な経路の数

条件1は符号化が英語の1通り
条件2は日本語と英語の2通り
条件3は視覚的イメージと英語の2通り
条件4は日本語・英語に加えて視覚的イメージの3通り

結果

前期均衡バイリンガル,後期均衡バイリンガルともに,記憶した単語の再生率は,符号化経路の数と同様に「1:2:2:3」となる。それに対して,初学者の単語再生率は,およそ「1:1:2:2」であった。

加算効果とアクセス経路

エキスパートと 構造化された知識

熟達者の分類

手際のよい熟達者(routine expert)

 アルゴリズム化が可能な課題 … 算盤,記憶術の達人など

適応的熟達者(adaptive expert)

 アルゴリズム化が難しい課題 … チェス,スポーツ競技の達人,政治家など

エキスパートと初心者の違い

下位技能の習熟

適切な問題解決のための知識の獲得

適切な評価基準の獲得

熟達を促す要因

能動的モニタリングを伴った学習

― 課題の多様さへの対応(徐々に複雑さを増す小世界)
― 作品発表,試合など重要な状況への直面

意味のある文脈の中での学習

― 認知的徒弟制
― モデルを実際に見ることによる学習
― 作品を通じて創作過程を再構成する

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