教育評価に関するヒント〜指導と評価の一致


教育評価をどうとらえるか?

「教育における評価は、教育活動の点検と修正」、「教育的価値とそれを具現化した教科目標との即応関係」、「テストは教育行為の領収書」といった正論があるが・・・

評定を巡る3つの過剰(教育評価研究委員会報告,1998年7月)

序列化の過剰

選抜尺度の過度の精密化、精緻化

評定対象の過剰

関心・意欲・態度など、評定が困難な対象も評価の対象に含まれている

作業記録の過剰

通信簿、指導要録、内申書など、教師は膨大な評価を強いられているが、それが有効に活用されることは一般的に希である

教育評価の鳥瞰図

作業の過剰や重複を避けるためにも、評価に関する見通しを持つためにも、 以下のような評価技法の鳥瞰図が理解されている必要がある。 また、評価に関するバッテリ(テストバッテリ)を必要に応じて組むことができなければならない (きちんと理解したい人は、教育評価の鳥瞰図をお読みください)。

鳥瞰図

歴史的な流れとキーワード

戦前の翼賛的な評価:

態度主義、忠誠評価型の絶対評価(戦前の主観評価)

近代風(やや古典含む?)の評価:

絶対評価、形成的評価、プログラム学習、ポートフォリオ評価、問題解決型学習、履修主義、到達目標、相対評価の欠点を補うための個人評価

科学志向の評価:

相対評価、系統主義的学習、修得主義(課程主義)、方向目標

特に重要な概念

テストを行うメリット

テスト不安と学習

定義は以下の通り。「自分が他人よりも良くないと評価されてしまうことは、不快な経験であり、自尊感情が損なわれる。試験が行われるたびに情緒的な緊張が起こる」

そして、低不安の生徒は、評価場面で挑戦することによって、成績が一層良くなる。 テストを完全にやり遂げることによって不安を解消しようとする。 高不安の生徒は、テストと無関係な反応をして、成績が悪くなる。

大問主義と細目積み上げ主義

そもそも、テストとは…

相対評価の注意点〜 準拠集団はどこか? 〜

ノルム準拠評価

国、県といった大規模な集団から、厳密にサンプリングして作成した、 標準テストを用いる。全体の中における相対的な位置を知るのに有効。

コホート準拠評価

特定のクラスや学校を準拠集団とした評価基準を採用する。既存の一般的な相対評価であるが、大数の法則を満たしていないので、中途半端な相対評価といえる。

相対評価の欠点

絶対評価と目標準拠評価

大前提

相対評価でも、目標(問題)は目標準拠であって構わない

難易度が標準化された良問を評価に利用することは、中途半端な絶対評価より確実に優れている

教育目標の全てを、評価基準として設定できるわけではない

「高度な問題解決能力」、「地域社会に興味・関心を持ち、社会的活動に積極的に参加する」

絶対評価の注意点

クライテリオン準拠評価

カッティング・スコアの設定。領域準拠評価。評価すべき学習領域が明確に規定されていることが必要

スタンダード準拠評価

思考力、判断力など、数量的に定義できない学力を評価するときに使う。 評価基準を示した言語表現と、評価基準に対応した具体的な学習事例を組み合わせて評価する。

絶対評価・目標準拠評価の重要課題

目標の具体化

適度な範囲と期間設定、単元レベルでの具体化作業。方向目標であってはイケナイ。

相対評価と絶対評価の齟齬の解消

二重評価システムの採用など

活動内容と学習目標の違いの理解

学習目標と評価基準が、最終的には、生徒に理解されていないと問題がある。学習スタイルの手本を示すことは可能でも、望ましい知識状態を押し付けるのはナンセンス。

目標の具体化手順

評価の観点に対応づけて単元目標を設定する

簡潔さと具体性の追求

主として注目すべき評価場面を選定する

知識・技能は単元終了時に評価し、意欲・関心、思考判断は途中で評価する(パフォーマンス評価も)

評価場面ごとに、単元目標と対応した具体的な目標を設定する

1つの具体的目標に対して、1つの観点評価

個人内評価(自己評価)

当社比でいく

絶対評価、目標準拠評価とは違う!

自分で設定した目標と自己評価が重要

中央性のある課題をどれだけ自力で発見できるか?自分の問題を自分で発見できるか?知識の自力構成力・修正力、自分史、自分学の構築。

他者との関わりあいによって、メタ認知能力を伸ばしていく

他者からの批判の消化、他者の視点の内化。他者への説明、教師への説明。 目標が共有され、良い作品と悪い作品について、コンセンサスが形成されている。

ちなみに、自己評価とポートフォリオ評価は基本的に別の話です。 ポートフォリオという作品の中には、たいてい自己評価に関する情報が含まれているべきだということです。

ミクロな自己評価とマクロな自己評価

教育評価の鳥瞰図 に書いたように、自己評価にはミクロなものとマクロなものとが存在する。

自己評価の発達段階(Towler & Broadfoot, 1992)

知識段階

あのときはどうだったかなどの報告ができる

分析・理解段階

どしてそうだったかなどが説明ができる

評価の段階

学習の状況について判断したり、何が達成されたかを説明できる

総合の段階

何を学習したかを、長期的な学習の文脈(将来の学習活動・ビジョン)の中で評価したり位置付けることができる

個人内評価の利点と欠点

利点

欠点


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