ヒトと計算機の記憶の類似点
-- 記憶の基本的なメカニズム --


心理学におけるコンピューター・メタファー

IBM互換機のスペック例1 - 低価格帯入門者向けPC

Compaq Presario 3200 3TO210 ¥69,800
OS: Windows Millennium Edition 
CPU: Intel Celeron 600MHz
L2キャッシュ: 128 KB
SIMM: 64M
HDD: 20GB
CD-ROM: 40倍速
Graphic Board: Intel社製 82810E(AGP)
VRAM:  メインメモリと共有使用
Sound Card: Sound Blaster Pro互換

IBM互換機のスペック例2 - 高価格帯マニア向けPC

VAIO RX 15型TFT液晶ディスプレイ付属¥469,800 
OS: 	Windows 2000 Professional 
CPU:  Intel Pentium III 1024
L2キャッシュ: 256KB
SIMM: 128M
HDD: 	60GB
CD-R/W: 読み込み8倍速・書き込み4倍速
DVD-ROM: 16倍速
Graphic Board: nVIDIA社製GeForce2 MX
VRAM: 32M
Sound Card: YAMAHAソフトオーディオ AC97準拠 

感覚記憶(Sensory Memory / Registers)

人間

視覚・聴覚・触覚…(五感), 意識しなくても知覚される情報は基本的に全て入力される?

コンピュータ

キーボード・バッファー,マウス・バッファー(?)

短期記憶(Working Memory)

人間

容量は有限だが意識的に制御できる唯一の記憶 — メモなどの補助記憶も含む?

コンピュータ

SIMM(Single In-Line Memory Module),DRAM(Dynamic RAM) — テンポラリ・ファイルなどの仮想記憶も含む?

感覚記憶と注意資源の問題

以下のような行列が一瞬だけ提示されます

1 2 3 4
5 6 7 8
9 0 1 2

実験の注意

提示時間は本当に一瞬だけなので、よく注意して見ていてください。 提示した直後に指定した箇所を再生してもらいます。

用意はいいですか? (実物は講義中に示します...)

感覚記憶に関する知見

一般に, 視覚的情報の保持時間は1秒程度, 聴覚的情報の保持時間は5秒程度といわれている。 この保持期間の長さを利用したシステムとして,ネオンサインや映画などがある。 感覚記憶の中の残像があることから,動きとして知覚される。

短期記憶 vs.作業記憶

実験の説明

これから文字列を15個読み上げますので,これらの文字列を記憶してください。読み上げているあいだは,メモなどは取らず,また語呂合わせなども行わないでください。ごく普通に暗記するよう頑張ってください。

実験の注意

教壇に向かって右側に座っている人は,読み上げた後,20秒間,静に目をつぶっていてください。

教壇に向かって左側に座っている人は,読み上げた後,「20秒間で2桁と1桁のかけ算をできるだけ多く計算」してください。

合図があったら,思い出せる文字列から自由に,できるだけ多くの文字列を書き出していってください。

用意はいいですか? (実物は講義中に示します...)

系列位置効果の説明

初頭効果

初頭の文字列は,もっとも数多く頭の中でリハーサルされた文字列である。繰り返しリハーサルすることによって,長期記憶へと転送された。

新近性効果

終端部分の文字列は,リハーサルの回数は少ないが短期記憶の中でもっとも新しい情報である。そのため,短期記憶から忘却される前に再生することができた。

妨害課題の効果

目を瞑っていることはリハーサルを妨げない。それに対して,「計算 問題を解く」ことは著しくリハーサルを妨げる。処理する情報の感覚様相 (モダリティ)が競合するか否かが重要となる。

短期記憶・作業記憶の特徴

処理可能な容量は限られている。一般的には7±2が上限。 保持期間はおよそ20秒程度

情報はある程度のまとまり(チャンク:Chunk)として処理される 例:「JA LN TT AN AN HK UK KD D 」

リハーサルには,維持リハーサルと精緻化リハーサルとがある

維持リハーサル

主に意識の上に保持するためのモノ

精緻化リハーサル

主に長期記憶へ転送するためのモノ。様々な方略が用いられる

処理の監視と制御。メタ認知(meta-cognition)発達的に変化・多様化する